この物語は、現代社会に潜むブラック企業の実態を、風刺を交えながら描いた作品です。
登場人物の心の闇と、企業という組織の歪んだ構造を通して、私たちが見過ごしがちな問題に光を当てます。
作中には毒蛇フライ君という独特のナレーターが登場し、物語に対して鋭い洞察とコメントを加えていきます。
この作品は、読者の皆様に現代の労働環境について考えるきっかけを提供することを目的としています。
なお、本作品はフィクションであり、特定の企業や人物を指すものではありません。
本編
私はあるブラック企業の課長a、38歳。
わけあって転職し、5年目。
さすがブラック企業は出世が早い。
〔ある教授が、「黒は素晴らしい、云々」というエッセイを書いていたけれど。
同じ黒でも、ブラック企業の「ブラック」は、悪い印象しか存在しないものだ。〕
by フライ
メンタルの状態は、元役所職員a君と大体同じ。
ただひたすら、モテてモテて、モテまくりたい。
それには手段を厭わない。
〔まともな手段は取らないつもりらしい。〕
by フライ
社員どもは、連日の長時間のサービス残業で、疲労困憊している。
もはやもう逆らう気力すらなくなっている。
先週、他の部署の誰か、自殺した様子だ。
今朝なんて、俺の部署の前の席の女子社員が、机の上にぶっ倒れやがった!
他の社員に示しがつかないだろう。
〔重ね重ね、かわいそう。〕
by フライ
なぜそんな酷いことをするのかって?
そりゃー、最高経営責任者が揃いも揃って、金儲け主義の、それも弱い者から搾取型の、ヤバーい奴等だからさ。
〔い~つ~か~ぁ、痛い目見るぞ!!〕
by フライ
〔この会社の最高経営責任者は、沢山の霊に呪われているね。
いつか「自業自得」という言葉がピッタリになるサ。〕
by フライ
いくらヤバくても、金持ちだから、悪女たちが金目当てで結婚したのさ。
老後の心配もないし。
女どもは計略的なのさ。
金の恨みは恐ろしいや~て。
金の恨みってどうなるの?
〔?
さて、地獄の責め苦に遭って、来世によくない生れになったり、災難に遭ったり…。
ロクな事無いんじゃないかな。〕
by フライ
「地獄の沙汰も銭次第」ていうけれど?
〔持ち金全部使ってもねぇ。
人を騙したお金でしょう?
借金まみれじゃない?〕
〔その点、ブラック企業で搾取された社員などは、地獄ではお金持ちと言える。
ただ、騙され難い人物にならないと、ですね。〕
〔バカではない。
正直者をバカと言ってはいけない。
防御の問題ですよ。〕
by フライ
ブラック企業は確かに売り上げ重視だけどそれは二義的。
本当に売り上げ重視なら、適当に休みを入れたり、設備投資・福利厚生など、社員にやる気を出して貰って売り上げ向上するために、様々な手段を取り入れるでしょう。
そうではなくて、社員から搾り取って使い潰す手段的なことに躍起なんだ。
〔悪い事して!
まるで己の悪業を部下の社員に代わって償わせているみたいじゃない。
会社のイメージとして、「酷い」と「かわいそう」が混在するんだね。
血で血を洗う如くの所業だ。〕
by フライ
ブラック企業の経営者って、地獄の責め苦を味わわせるために現れた獄卒では?
〔例えそうだとしても、長く人間界に居座れば、ロクな事ないよ。〕
〔不幸にして災害で亡くなった人々も、すべてが脆い命というわけではなく、悪人もいれば、天使のような善人だっていた筈だ。
今、この世に居る人々は、命あることを有難く思って、生き方を考えるべき。〕
by フライ
なんだか専ら、《毒蛇フライ君に聞いてみよう!》のコーナーになってしまったね。
〔たまには大丈夫。構わないサ。〕
by フライ
『○灯の冷○』、『弘○○師信仰』等を、一部参考にさせて戴きました。
合掌
再び、「地獄の沙汰」の話題だけれど。
神社仏閣、教会、イスラム教、などにお布施したり、慈善事業すれば、いくらかマシではないの?
〔銭を浄化し、聖職者を助け、人々を救うという、善にはなるかも。
でもそこで、非道を改め、軌道修正をして行かないと、マイナス資産も増えて行くのサ。〕
〔敬虔な人は、些細な事にも懺悔し、滅罪して行くでしょう?
そういう人たちに追いつくのは、至難の道ということサ。〕
〔宗教家や心理家みたいなQ&Aになってしまった。
先生方は吾輩よりもっと現実的だけどね。
吾輩は、小説の中の毒蛇だから。〕
by フライ
※旧ツイッター、2022年11月5日、6日公開。
あとがき
最後まで読んで下さいまして、有難うございます。
この作品は、2022年11月にSNSで公開した短編小説を再構成したものです。ブラック企業という社会問題を、やや極端な表現と風刺を用いて描きました。
毒蛇フライ君という不思議なナレーターを通して語られる因果応報の思想は、宗教的・哲学的な要素を含んでいます。
これは決して特定の宗教観を押し付けるものではなく、あくまで物語の一要素として捉えていただければ幸いです。
現実の労働環境において苦しんでいる方がいらっしゃいましたら、どうか一人で抱え込まず、労働相談窓口や信頼できる方に相談してください。
あなたの命と健康が何よりも大切です。
この作品が、働くということ、生きるということについて、少しでも考えるきっかけになれば幸いです。
次回もお楽しみに。
本作品に登場する企業、人物、出来事はすべてフィクションです。
実在の企業や団体、人物とは一切関係ありません。



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