「メンヘラの役所職員」

「メンヘラの役所職員」 小説
「蛇神様」

本作『メンヘラの役所職員』は、現代社会の歪んだ一面を、ユーモアと風刺を交えて描いた作品です。

主人公の役所職員aは、自信過剰で倫理観が欠如した人物として描かれています。
彼の行動は決して推奨されるものではなく、むしろ個人情報保護の重要性や、職場における適切な行動規範について考えるきっかけとなることを意図しています。

本作には、宗教的な引用や哲学的な言葉が散りばめられていますが、それらは主人公の矛盾した内面や、表面的な理解しかできていない現代人の姿を象徴的に表現するための装置です。

また、ナレーターである毒蛇のフライが冷静にツッコミを入れることで、読者が客観的な視点を保てるよう配慮しています。

本作は風刺的な表現を含んでおりますが、あくまでフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

どうぞ、批判的な目と共に、お楽しみください。

メンヘラ小説

私は男性役所職員a、26歳である。

就職してから数年が経ち、若い女性の部下もいるぐらいになった。

仕事も一通り覚えて自信がついている。

学生の頃の執行猶予期間(モラトリアムと言う)が過ぎて、今では黒歴史に思えるくらいだ。

エッ!?
八正道?

何をコテコテに凝って。
もう社会人なんだから、全て自由に俺様流さ。

そのうち、恋愛も経験するつもりだ。

出会い系サイトアプリに、何件か登録している。

私はまだ若いし、役所仕事で堅実で安定しているから、きっとモテモテの筈。

エッ!?
好みのタイプ?

それは何といっても一に美人、二に可愛い、三に色っぽい、四に家庭的(涎)!!
ならば男女は問わず、誰でもいい。

〔パキーン!!〕※ハートが崩れる音。

どちらかと言えば、性欲が先走ってはいるが、身を固めたいのも確かなのさ。

結婚できなくても、長い人生、ハードボイルドでモテモテモテモテモテモテモ・・・・・・

(繰り返して脱線)

エッ!?
他に表現はないかってェイ??

理想は『源氏物語』の主役のような、ピカピカの恋愛経験。

(ドキドキ)

後光が射すぜ。
(じゅるじゅる)

遊郭の美女なども、和装しているだろうし興味惹かれる…。

いつか会員制の「遊郭ツアー」なんて言うものにも、参加してみたい…。

遊郭の美女などには、変態な男で迷惑だと思うけれど…。

(回想)

でも素人の娘に手を出してしまうよりは、紳士的な俺様だぜ!!

Oops!
メンヘラ小説ではなくて、ポルノ小説になっちまいやがった!!

(テヘ)

確か、有名な科学者のアインシュタインだったか。
門を叩けば開かれるって。

(『新約聖書』です。)

Ask, and it will be given to you; seek, and you will find;
knock, and it will be opened to you.

Matthew 7:7-8

仏教徒? それとも、キリスト教徒??

メンヘラな私はもちろん無宗教派なのさ。

信仰は、強いて言えば、浄土真宗かな。

罪業もとよりかたちなし
妄想顛倒のなせるなり
心性もとよりきよけれど
この世はまことのひとぞなき

親鸞

合掌

この言葉がお気に入り。

以前、ナレーションを探していた所、毒蛇のフライ君が快く引き受けてくれた。

因みに、フライ君は、間違って料理されそうな所、㋪飛行術を使って厨房から脱走したという遍歴があり名づけられた。

そしてフライ君はメンヘラではない。

さすがは爬虫類だけある。

フライ君は、地に足(腹)を付けた人物(蛇)だ。

さるべき業縁のもよおせば、
いかなるふるまいもすべし。

親鸞

合掌

よぉーし。
独身女性からの役所申請書にある番号に、片っ端から電話を掛けてみよう!!
珍しく仕事にやる気が出てきた。

〔それはもはや仕事ではない。〕
by フライ

以前、受付に来た若くて可愛い子の住所をメモって、家まで尋ねて行ったのだけれど、留守だった。

〔留守でなければ、110番されてるヨ。
まったく、個人情報を何だと思っているんだ。〕
by フライ

「個人情報!」だなんて、堅苦しい。
住所と電話番号を私に教えたということは、私に気があるってことでしょう!?

〔違う!!〕
by フライ

はじめまして。
蛇神です。
私は、フライ君のファンです。

〔メンヘラ役所職員a君には、脱○○ーブを服用している可能性がある。〕

〔a君は運よく逮捕を免れ、物語は続く。〕

〔a君いわく、「主役が早々潰れてたまるか!!」と、勢いを見せる。〕
by フライ

クロス・十字架を見ると、目に沁みるぜ。

玉葱みたいによォッ!!

〔魔除けにハマってしまった。〕

〔吾輩から見れば、クロスモチーフのアクセサリーなどは、アンティークな雰囲気があって、芸術的だと思う。〕

〔メンヘラ役所職員a君は、脱○○ーブとは別件で逮捕され、退職。〕

〔物語終了。
・・・主役不在。〕

〔ここからは、ナレーションをしている吾輩、毒蛇のフライが、格上げして主役になった。〕

〔早く次の物語になるメンヘラ人物を探さなくては。〕
by フライ

あとがき

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

本作は、SNS(旧Twitter)で2023年10月から11月にかけて(10月30日,11月3日)公開された作品を再構成したものです。

主人公aの破天荒な行動と、それに対するフライ君の的確なツッコミという構造は、現代社会における「承認欲求」「倫理観の欠如」「自己中心的な思考」といったテーマを、あえて極端に誇張して表現したものです。

物語の途中で主役が交代するという異例の展開も、人生の不確実性や、自らの行動がもたらす結果について考えていただくための仕掛けでした。

親鸞聖人の言葉を引用したのは、人間の業(カルマ)や煩悩について、古来より深く考察されてきたことを示すためです。
主人公aがそれを理解していないところに、この物語の皮肉があります。

毒蛇のフライが次の主役を探すところで物語は終わりますが、これは「メンヘラ」な人々が社会に無数に存在することの暗喩でもあります。

本作を通じて、少しでも笑いと共に、現代社会の問題について考えるきっかけになれば幸いです。

次回作もどうぞお楽しみに。

著者

 

 

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