自信がない人に必要なのは自己効力感?自己肯定感との違いと育て方
ビジネス・教育・医療でひっぱりだこの“行動の自信”という考え方
「自己肯定感を高めよう」という言葉をよく耳にします。
一方で最近は、「自己効力感(セルフエフィカシー)を育てよう」という話題も目立ちます。
言葉は似ていますが、この2つは役割がまったく違います。
この記事では、
・小中高生の教育
・ビジネスの成果
・看護やリハビリの現場
など、さまざまな場面で注目されている“自己効力感”を、自己肯定感との違いからわかりやすく整理します。
自己肯定感=「これが自分だ」と思える土台
自己肯定感は、
「自分には価値がある」「ここにいていい」
という“存在そのもの”の感覚です。
人間関係がこじれたり、人との比較で消耗したりすると下がりやすく、逆に安心できる環境や人とのつながりでゆっくり育ちます。
どちらかといえば、人格や生き方に近い、ゆっくり変わる基礎の部分です。
自己効力感とは?——「できるかもしれない」が行動を生む力
自己肯定感との違い
対して自己効力感(Self-Efficacy,「自己可能感」「自己革新」)は、
「この課題なら自分にもできる」
という“行動の手ごたえ”です。
たとえば、
- テスト勉強をやりきれる気がする
- 仕事の難題を乗り越えられそう
- リハビリを続ければ身体が動くようになる気がする
こうした“やったらなんとかなる”という感覚は、自己肯定感とは独立しています。
つまり、自己肯定感が低くても「これはできる」ということはあるし、その逆もありえます。
心理学的に分類すると、自己統制的自己効力感・社会的自己効力感・学業的自己効力感の3つになります。
成功すると自己肯定感も上がる
2つは別物ですが、相互に影響します。
- 小さな成功を積む
→ 自己効力感が上がる
→ 「自分も悪くない」と思える
→ 自己肯定感が育つ
この循環があるからこそ、教育やビジネスの現場では“まず自己効力感を育てる”アプローチが主流になっています。
【教育】小中高生に必要なのは「成功体験の設計」

子どもに「自信を持ちなさい」と言っても、行動は変わりません。
教育現場ではむしろ、
① スモールステップ
② 行動を褒める(努力・工夫など具体的なポイント)
③ 成功した実感を積ませる
ほうが圧倒的に効果的です。
自己肯定感を育てる土壌はもちろん大切ですが、行動を変え、結果を出すうえでは自己効力感のほうが実践的です。
成功体験を積ませることで子どもは着実に「できる」という手ごたえを掴んでいきます。
【ビジネス】成果が出る人は「行動前の自信」がある
仕事の現場で自己効力感がどのように役立つのかを見ていきます。
仕事で成果を出す人は、
「やればできる」「なんとかなる」
という感覚を自然に持っています。
この感覚こそが自己効力感です。
- 失敗しても再トライできる
- 難易度の高い仕事にも挑戦できる
- 新しいスキルを身につけやすい
ビジネスの現場で「自己効力感トレーニング」が注目されるのは、成果と直結するからです。
【医療・看護】リハビリ継続のカギは「自分でできると思えるか」
看護師向けの文献では、患者の回復を促すために自己効力感が重要視されています。
- 「動けば身体は変わるはず」
- 「続ければ良くなる」
という見通しがある人は、リハビリ継続率が高く、回復も早くなりやすいと言われています。
逆に、周囲が手を出しすぎたり、できることまで奪ってしまうと、
「自分では動かせない」という感覚が強まり、回復の妨げになります。
医療の世界では特に、本人の“できる感覚”を育てる関わり方が重視されています。
最後に
自己肯定感は人生の基盤であり、自己効力感は行動のエンジンです。
どちらも大切ですが、
行動を変えたい・成果を出したい・回復を促したい
という具体的な目的があるなら、最初に手をつけるべきは自己効力感です。
小さな成功体験がひとつ積み重なるだけで、人は想像以上に前に進めます。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。
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