―悪者がいないのに、なぜ人は傷つくのか―
私たちは普段、「暴力」と聞くと殴る・傷つけるといった目に見える行為を思い浮かべがちです。
しかし、ノルウェーの平和学者 ヨハン・ガルトゥング は、暴力をより広く捉える視点を提示しました。
それが「暴力の三角形」です。
- 直接的暴力(見える暴力)
- 構造的暴力(制度に埋め込まれた暴力)
- 文化的暴力(正当化する価値観)
この記事では特に「文化的暴力」に焦点を当てながら、現代日本の身近な問題を具体例で解説します。
文化的暴力(Cultural Violence)とは
文化的暴力とは、
構造的な不平等や直接的な被害を“正当化してしまう価値観や空気”のことです。
具体例
- 自己責任論
「貧乏なのは努力不足」という考えは、本来は社会構造の問題である格差を個人の責任にすり替えます。 - ジェンダー・ステレオタイプ
「女性は感情的だから意思決定に向かない」という偏見は、政治や経済からの排除を正当化します。 - 選民思想・人種差別
「自分たちの方が優れている」という思想は、歴史的に奴隷制や戦争を支える論理となってきました。
ポイント
文化的暴力は「見えない」ため、最も気づきにくく、しかし最も強力です。
現代社会を「暴力の三角形」で分析する
この理論は、学術研究でも現代社会の分析に活用されています。
特に日本では、労働問題や福祉問題を読み解く重要な視点として使われています。
ここでは、身近な2つの問題を見てみましょう。
例1:非正規雇用の格差問題
一見「個人のキャリア」の問題に見えますが、実際は社会構造の問題です。
構造的暴力
- 正社員と非正規で大きな待遇格差
- 将来設計(結婚・出産)が困難になる
文化的暴力
- 「非正規は努力不足」
- 「嫌なら辞めればいい」
この価値観が制度の不合理を“仕方ないもの”として固定します。
公的な支援を遅らせます。
直接的暴力
- メンタルヘルスの悪化
- 過労・生活困窮
- 最悪の場合、自死や犯罪
例2:ヤングケアラー問題
子どもが家族の介護や世話を担う問題です。
子供から教育や遊びの時間を奪っています。
構造的暴力
- 福祉制度の不備・複雑さ
- 家族任せの社会設計
文化的暴力
- 「家族の世話は美徳」
- 「助けを求めるのは恥」
この価値観が問題の“不可視化”を生みます。
家族主義の美化により問題が表面化しにくくなります。
直接的暴力
- 不登校
- 栄養不足
- 孤立と心身の疲弊
解決の鍵は「積極的平和」
ガルトゥングは、単に暴力がない状態ではなく
「構造や文化そのものが改善された状態」=積極的平和を重視しました。
文化の変容
- 自己責任から社会的支援へ
- 偏見や思い込みの見直し
「自己責任」ではなく「社会的な再分配」の重要性を認識し、偏見(文化的暴力)を解体する。
構造の変革
- 制度・法律の改善
- 公平な機会と支援の整備
法律や制度を改正し、誰もが平等にチャンスやケアを受けられる仕組み(構造的暴力の排除)を整える。
まとめ
ニュースで見かける「悲劇的な出来事」の多くは、
偶然ではなく、
- それを生み出す仕組み(構造的暴力)
- それを許してしまう価値観(文化的暴力)
の上に成り立っています。
あなたの周りにも潜んでいる
この視点を持つと、
- SNSの言説
- テレビのコメント
- 日常の何気ない会話
の中にも、「文化的暴力」が見えてきます。
最後に
最近気になったニュースや出来事を、
「これは構造の問題ではないか?」
「その背景にある価値観は何か?」
と問い直してみてください。
世界の見え方が、少し変わるはずです。
「環境で差がつく」を放置しないために
「環境で差がつく」という現実は、残念ながら存在します。
しかし同時に、環境は“選ぶこともできる”ものです。
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教育へのアクセスは、制度的暴力が最も現れやすい領域の一つです。
だからこそ、個人で選べる選択肢を知ることも重要になります。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。






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