自己効力感を育てる教育場面での例文集

自己効力感を育てる教育場面での例文集 心の仕組み

教育現場で子どもの自己効力感を育てることは、学力向上だけでなく、生涯にわたる学習意欲や挑戦する力の基盤となります。

しかし、「頑張れ」「できるよ」という励ましだけでは、自己効力感は育ちません。

大切なのは、

  • 小さな成功体験を言語化すること
  • 努力の過程を具体的に認めること
  • 失敗を学びに変える視点を示すこと

この例文集では、学習支援・行動指導・進路相談など、教育現場のさまざまな場面で使える具体的な声かけをまとめました。

学習支援(算数・数学が苦手な子ども)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「こんな簡単な問題もできないの?」
「もっと頑張らないとダメだよ」
「〇〇さんはできているのに」
「この調子じゃテストが心配だね」

→ なぜNG?
結果だけを見て否定する言葉は、「自分はできない」という感覚を強めてしまいます。

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【小さな成功を見つける】

「昨日は3問できなかったけど、今日は1問できたね」
「この部分、前は全然分からなかったのに、今は自分で途中まで解けてるね」
「計算ミスは減ってきたよ。見直しを意識してるからだね」

【努力の過程を言語化する】

「あきらめずに3回やり直したね。その粘り強さがすごいよ」
「分からないところをちゃんと質問できたね。それが成長の証だよ」
「ノートを見たら、丁寧に途中式を書いてる。それが力になってるね」

【具体的な方法を示す】

「まず、例題をもう一度見てみよう。どこまで同じか確認してみて」
「全部解こうとしなくていいよ。まず(1)だけやってみようか」
「図を描いてみると、イメージしやすくなるかもしれないよ」

【モデリングを活用する】

「〇〇さんも最初は苦手だったけど、毎日少しずつやって得意になったんだよ」
「先生も中学生のとき、この単元で苦労したんだよね。でもコツをつかんだら分かるようになったよ」

学習支援(テストで思うような点数が取れなかった子ども)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「勉強が足りなかったんじゃない?」
「次は頑張ってね」(具体性がない)
「この点数じゃ心配だね」
「何でこんな点数なの?」

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【感情を受け止める】

「悔しいよね。一生懸命やったのにね」
「思ったより取れなくて、がっかりしてるんだね」

【部分的な成功を見つける】

「計算問題は全部正解だね。基礎はちゃんと身についてるよ」
「前回より5点上がってるよ。少しずつ力がついてる証拠だね」
「この問題、授業で習った直後は分からなかったのに、今回は解けてるね」

【具体的な改善点を一緒に考える】

「どの問題が一番難しかった? それを次に重点的にやってみようか」
「時間が足りなかったの? それとも、解き方が分からなかった?」
「次は、間違えた問題をもう一度解き直してみようか。それが一番力になるよ」

【長期的な視点を示す】

「テストは通過点だよ。大事なのは、ここから何を学ぶかだね」
「今回分からなかった部分が分かれば、次のテストで必ず役に立つよ」

行動指導(忘れ物が多い子ども)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「また忘れたの? いい加減にしなさい」
「ちゃんと準備しないからだよ」
「何度言ったら分かるの?」
「みんなできてるのに、あなただけだよ」

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【小さな改善を認める】

「今日は教科書を忘れなかったね。昨日確認したからだね」
「先週は3回忘れたけど、今週は1回だけだね。少しずつ変わってきてるよ」

【一緒に解決策を考える】

「どうしたら忘れないと思う? 何かいい方法ある?」
「連絡帳にチェックリストを作ってみる? それとも、前の日に準備する時間を決める?」
「玄関に置く場所を決めておくと、忘れにくくなるかもね」

【選択肢を与える】

「明日から、朝確認する? それとも、夜寝る前に確認する? どっちがやりやすいかな」
「自分でアラームをセットしてみる? それとも、おうちの人に声をかけてもらう?」

【長期的な視点で励ます】

「すぐには完璧にならなくていいよ。少しずつ習慣になっていけばいいからね」
「忘れることは誰にでもある。大事なのは、工夫しようとしてることだよ」

行動指導(友達とトラブルがあった子ども)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「あなたが悪いんでしょ?」(一方的な決めつけ)
「ちゃんと仲良くしなさい」(抽象的)
「謝ったらそれで終わり」(過程を無視)

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【感情を受け止める】

「嫌な気持ちになったんだね」
「悔しかったね。話してくれてありがとう」

【振り返りを促す】

「何があったか、教えてくれる?」
「そのとき、どんな気持ちだった?」
「相手はどう思ってたと思う?」

【選択肢を示す】

「次に同じことがあったら、どうする? 何か方法を考えてみようか」
「言葉で伝える方法と、先生に相談する方法があるけど、どっちがいいと思う?」

【行動を認める】

「自分から話しに来てくれたね。それができるのはすごいことだよ」
「ちゃんと謝れたね。それは勇気がいることだよね」
「落ち着いて考えられるようになったね。前より成長してるよ」

進路相談(将来に不安を感じている中高生)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「今の成績じゃ無理だよ」
「もっと現実を見なさい」
「あなたには向いてないんじゃない?」
「そんな甘い考えじゃダメだよ」

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【夢を否定せず、現実も示す】

「いいね、〇〇になりたいんだね。そのためには、どんなことが必要か一緒に調べてみようか」
「今の成績だと少し距離があるけど、まだ時間はあるよ。どこから始めるか考えてみよう」

【小さなステップを示す】

「まず、その職業の人の話を聞いてみる? それが第一歩になるよ」
「今年は〇〇を目標にして、来年はその先を考えてみようか」
「まずは得意な教科を伸ばして、自信をつけていこうか」

【過去の成長を振り返る】

「1年前と比べて、〇〇ができるようになったよね。同じように、これからも成長できるよ」
「この部活での経験、すごく役に立つと思うよ」

【選択肢を広げる】

「〇〇だけじゃなくて、△△という道もあるよ。調べてみる?」
「同じ分野でも、いろんなアプローチがあるからね」

【モデリング】

「先輩の〇〇さんも、最初は悩んでたけど、今は充実してるみたいだよ。話を聞いてみる?」

授業中の発言支援(間違いを恐れる子ども)

❌ 自己効力感を下げる声かけ

「違います」(即座に否定)
「ちゃんと考えた?」
「簡単なのに」
(他の子を指して)「じゃあ、〇〇さん答えて」

✅ 自己効力感を育てる声かけ

【発言したことを認める】

「考えて答えてくれてありがとう」
「勇気を出して発言してくれたね」

【部分的な正解を見つける】

「ここの部分は合ってるよ」
「いい視点だね。あと少しで正解だよ」
「その考え方、面白いね」

【間違いを学びに変える】

「なるほど、そう考えたんだね。じゃあ、この部分をもう一度見てみようか」
「その間違いは、みんながよくする間違いだよ。いい気づきだね」
「間違えることで、理解が深まるんだよ。チャレンジしてくれてありがとう」

【クラス全体への声かけ】

「間違いは、みんなの学びになるから大事だよ」
「正解より、考えた過程が大切だよ」

保護者面談(保護者への助言)

保護者が陥りがちなNG対応

「うちの子、全然やる気がなくて…」(子どもの前で)
「〇〇ちゃんはできるのに」(比較)
「勉強しなさい!」(命令のみ)
「テストの点数が悪いと怒る」(結果だけ見る)

✅ 保護者に伝えたい関わり方

【小さな変化を見つけて言葉にする】

「お子さんの小さな頑張りを見つけて、『気づいてるよ』と伝えてあげてください」
「『昨日より5分長く勉強してたね』というように、具体的に言葉にすると効果的です」

【結果より過程を認める】

「点数よりも、『ここまでよく頑張ったね』と過程を認めてあげてください」
「間違えた問題を見直してることを褒めてあげてください。それが力になります」

【比較しない】

「他の子と比べず、お子さん自身の成長を見てあげてください」
「『あなたは、前よりできるようになってる』というメッセージが大切です」

【選択肢を与える】

「『勉強しなさい』ではなく、『国語と算数、どっちから始める?』と選ばせてあげてください」
「自分で決めた感覚が、やる気につながります」

【失敗を責めない】

「失敗したときこそ、『次はどうする?』と一緒に考える姿勢が大切です」
「責めるのではなく、『どうしたらうまくいくか』を考える機会にしてください」

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声かけのポイントまとめ

具体的に言語化する

❌ 「頑張ったね」
✅ 「20分間、集中して取り組んだね」

過程を認める

❌ 「結果が全て」
✅ 「あきらめずに3回挑戦したね」

小さな成功を見つける

❌ 「まだできてない」
✅ 「ここまでできるようになった」

比較しない

❌ 「〇〇さんはできるのに」
✅ 「前のあなたより成長してる」

選択肢を与える

❌ 「これをやりなさい」
✅ 「AとB、どっちからやる?」

失敗を学びに変える

❌ 「何でできないの?」
✅ 「ここから何を学べるかな?」

近いモデルを示す

❌ 「先生はできた」(遠い存在)
✅ 「〇〇さんも最初は苦手だったよ」(身近な存在)

まとめ

自己効力感を育てる声かけの本質は、

「できない」を指摘するのではなく、
「できた」を一緒に見つけ、
その意味を子どもと共有すること

です。

教師の言葉一つ、関わり方一つが、子どもの「自分にもできるかもしれない」という感覚を育てます。

子どもの学びへの不安が、少しでも「やってみよう」という意欲に変わるきっかけになれば幸いです。

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。

 

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