DAOは自由な組織か、それとも規制の抜け穴か?ワイオミング州とSECが示す法的現実

DAOは自由な組織か、それとも規制の抜け穴か?ワイオミング州とSECが示す法的現実 エッセイ
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DAOは技術としては分散化されているが、法律上はまだ発展途上である

吾輩の名はフライ。

今日はDAOという、ブロックチェーンの上ではやたら威張っているクセに、現実の法律の前ではまだヨチヨチ歩きの組織形態について語るサ。

「分散化」だの「自律的」だの、聞こえはいいネ。
だが吾輩に言わせれば、法律というやつはブロックチェーンより執念深い。

トークンを配れば証券とみなされ、法人格がなければ参加者全員が借金を背負わされる——コードは自由でも、人間はちゃんと現実に足を掴まれているというわけでしょう?

というわけで、今回はDAOの「法的地位」というやや地味だが避けて通れないテーマを、吾輩がじっくり解説していくサ。

DAOの法的地位はまだ曖昧

この種の事業組織の正確な法的地位は一般的に不明確であり、管轄区域によって異なる可能性があります。

DAOはブロックチェーン上では立派な組織として機能しますが、各国の法律がそれを「会社」とみなすのか「単なる人の集まり」とみなすのかは、いまだ統一されていません。

日本・アメリカ・EUだけでも解釈は異なり、技術としてのDAOに法律が追いついていない状態が続いています。

ワイオミング州はDAOを会社として認めた

2021年7月1日、ワイオミング州はDAOを法的実体として認めた全米初の州となりました。

「DAO LLC(DAO有限責任会社)」という制度を新設し、普通の株式会社やLLCと同様に、DAOも法人として登録できるようにしたのです。
これにより、DAOは契約を結び、資産を保有し、訴訟の当事者になることが可能になりました。

これはDAO史ではかなり有名です。

最初のDAO LLC

American CryptoFed DAO
同州第一号のDAO LLC

これは世界で最初にDAO LLCとして認められた団体です。
かなり話題になりました。

ただし、その後は米国当局との間で登録や証券法などを巡る問題も起きており、「DAOだから規制を受けない」というわけではありません。

SEC(証券取引委員会)の問題

SECがDucat・Locke両トークンの登録を巡って
American CryptoFedに問題視した経緯

未登録証券

これは非常に重要です。

DAOでは、例えば「トークンを買うとDAOに参加できます」という仕組みがあります。
しかし、そのトークンが投資商品と判断されると、証券になります。

すると、証券法が適用されます。
つまり、DAOだから自由ではなく、株式のような扱いになる可能性があります。

重要なのは、DAOへの参加権として販売されるトークンが投資商品と判断された場合、証券法の適用対象になるという点です。

実際にSECは、ICO(Initial Coin Offering)の多くを未登録証券として問題視してきました。
DAOだから自由というわけではなく、株式に近い扱いを受ける可能性があるのです。

つまり、DAOで発行したトークンも、場合によっては金融商品になります。

法人格がないDAOはどう扱われる?

ここが一番重要です。

一般パートナーシップ

これは日本でいうと、任意団体に近い考えです。

法人格を持たないDAOは、日本でいう任意団体に近い「一般パートナーシップ」とみなされる可能性があります。
つまり参加者全員が共同経営者と見なされ得るということです。

仮にDAOが100万ドルの負債を負った場合、参加者個人にも責任が及びかねません。
だからこそ法律家は、DAO LLCのような法人形態を勧めるのです。

DAOだから責任が消えるわけではない

最後の文章です。
※DAO Wikipedia「Legal status, liability, and regulation(法的地位、責任、および規制)」

法律を遵守していない場合、規制執行や民事訴訟の対象になる

これは、DAO最大の誤解を否定しています。

DAOなら政府の規制は及ばない、という見方はかつて存在しましたが、現実は異なります。

DAO運営者、開発者、財務担当者、フロントエンド運営者、取引所など、現実世界で活動する人物は特定可能です。

そのため、マネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与対策、税務、証券法、消費者保護といった法律に違反した場合、責任を問われるのはDAOそのものではなく、関与した個人や法人です。

まとめ

この節が伝えたいことは、次のように整理できます。

内容 意味
DAOの法的地位 国によって異なり、まだ統一されていない。
ワイオミング州 DAOを法人(DAO LLC)として認めた先進的な例。
トークン 場合によっては証券とみなされ、金融規制の対象になる。
法人格のないDAO 参加者が共同事業者として責任を負う可能性がある。
規制 DAOでも法律の適用外にはならず、関係者は責任を問われ得る。

かなり具体的な最新事例として、2026年3月、ワイオミング州の連邦地裁がAmerican CryptoFedに対し、Locke トークンを証券として登録しない限り発行することを差し止める命令を出しました。

Web3との関係

Web3の理念では、「コードによる自律的な組織運営」が重視されます。
しかし現実社会では、契約、税金、資産保有、紛争解決などは依然として各国の法律に基づいて行われます。
そのため、現在のDAOはブロックチェーン上の自律性現実世界の法制度を橋渡しする段階にあります。

近年は、DAO向けの法人制度を整備する国や地域が現れたり、DAOのガバナンストークンに証券法が適用されるかどうかが議論されたりするなど、「DAOをどう法制度に組み込むか」が世界的なテーマとなっています。

DAOは既存の法律を無視して活動する仕組みではなく、新しい組織形態として既存の法制度との接点を模索している段階にある、と理解すると分かりやすいでしょう。

あとがき

この「法的地位」の章は、DAOを理解するうえで少し難しい部分ですが、実は一番現実的な話でもあります。

Web3の世界ではよく、

“Code is Law(コードが法である)”

という言葉が使われます。
これは「スマートコントラクトによってルールを自動執行すれば、人間による恣意的な運営を減らせる」という思想です。

しかし、現実社会では、

  • 不正が起きたら誰が責任を負うのか
  • 税金は誰が納めるのか
  • 契約は誰の名義で結ぶのか
  • 訴えられたら誰が裁判に出るのか

といった問題は、依然として各国の法律で判断されます。

つまり、

コードは組織のルールを動かせても、国家の法律そのものを置き換えることはできません。

現在のDAOは、この「コードによる自律性」と「現実世界の法制度」の間でバランスを取りながら発展している段階にあります。

※参考:Wikipedia「Decentralized autonomous organization(分散型自律組織)」の「Legal status, liability, and regulation(法的地位、責任、および規制)」

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最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。

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