【記事4】
炎上を大きくする「正義感」と、攻撃する側の心理
炎上する人と炎上させる人の違い
前回までは、炎上しやすい「発信者」の傾向を見てきました。
しかし炎上は、発信者だけで起こるものではありません。
そこに批判や攻撃を重ねる人たちがいて、はじめて「炎上」になります。
単なる「炎上しやすい人=発信の特徴」ではなく、正しさ・誤解・承認欲求・集団心理がどう炎上につながるのかまで掘り下げたました。
「正しさ」→「反発」→「攻撃」→「炎上」
という流れと、
攻撃する側にも「認められたい・つながりたい」という欲求がある
という二つの方向からまとめました。
この記事では、批判する側に働く「正義感」と集団心理、そして攻撃的な行動の裏にある心理を整理します。
炎上には「正義」が入り込む
炎上を考えるとき、重要なのが、批判する側の「正義感」です。
SNSでは、
「これは許せない」
「間違っていることを指摘して何が悪い」
という感情が、批判の原動力になります。
もちろん、問題行為を指摘すること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、「正すこと」と「攻撃すること」の境界が曖昧になることです。
最初は「この発言には問題がある」だったものが、
「この人は悪い人だ」
へ変わり、さらに、
「この人をみんなで叩くべきだ」
へ変化してしまう。
こうなると、問題の検証よりも「断罪すること」が目的になってしまいます。
SNSでは、正義が集団心理と結びつく
SNSの特徴のひとつは、同じ意見を持つ人が非常に簡単に集まれることです。
ひとつの批判に、
「私もそう思う」
「これはひどい」
「許せない」
という反応が重なっていきます。
すると、個人の感情だったものが集団の感情へ変化します。
集団の中にいると、自分一人では言わなかったような強い言葉まで出てくることがあります。
「みんなが怒っている」という状況が、「自分も怒っていい」という心理的な許可を与えてしまうからです。
こうして、最初の問題以上に大きな攻撃が発生することがあります。
こうした現象は、心理学で「脱個人化」と呼ばれます。
集団や群衆の中にいることで自己意識や責任感が薄れ、普段は抑えている攻撃的な行動をとりやすくなる状態です。
匿名性が高いこと、責任が分散すること、周囲の興奮に巻き込まれることなどが条件として挙げられます。
SNSの炎上にも、こうした心理が一因として働いている可能性があります。
※「SNSの炎上=脱個人化」か?
匿名性が低い実名アカウントでも攻撃は起こるため、脱個人化だけでは説明できません。
脱個人化は一因と考えられています。
また、集団で議論をすると、個人で考えるときよりも意見が極端な方向へ傾く現象があり、「集団極性化」と呼ばれます。
周囲と同じ、あるいはより望ましい立場にいたいという意識(社会的比較)や、同じ意見の根拠ばかりを聞くことで確信が強まること(説得的議論)が、原因として説明されています。
同じ意見の人が集まって先鋭化する流れなので、もともとの傾向がより強まります。
同じ考えの人が集まりやすいSNSでは、こうした傾向が生まれやすいと指摘されています。
「この人はおかしい」という意見ばかりが目に入るうちに、批判がより強く、過激な言葉へ変わっていくことがあるのです。
※「SNSの炎上=集団極性化」か?
集団極性化は、もともと対面での小集団の議論で研究された現象です。
SNSにも当てはまるとされることが多いものの、同様の傾向がみられると指摘されている程度です。
「脱個人化」と「集団極性化」を並べると、前者は行動(強い言葉が出る)、後者は意見(考えが先鋭化する)という違いがあります。
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攻撃する側には、どんな心理があるのか
なぜ人はSNSで攻撃的になるのか
攻撃的なコメントを書く人を、単純に「性格が悪い人」と片づけることもできます。
しかし、それだけでは説明できません。
その背景には、次のような欲求が隠れている場合があります(すべての人に当てはまるわけではありません)。
- 注目されたい
- 自分の存在を認めてもらいたい
- 優越感を得たい
- 自分の正しさを証明したい
- 誰かとつながりたい
- ストレスのはけ口がほしい
つまり、攻撃的な行動の奥に、
「認められたい」
「自分の存在を感じたい」
「誰かとつながりたい」
という、人間にとってごく基本的な欲求が隠れていることがあります。
もちろん、それは攻撃行動を正当化する理由にはなりません。
「寂しいから」
「認めてもらいたかったから」
という事情があっても、傷つけられた側が我慢する必要はありません。
心理を理解することと、行為を許すことは別だからです。
なお、これはあくまで一つの可能性です。
デマや炎上商法、実際に問題のある行為による炎上もあり、すべてがこの説明に当てはまるわけではありません。
「炎上しやすい人」と「炎上させる人」は別の話
ここまでをまとめると、炎上には二つの側面があります。
炎上には、「炎上しやすい発信者」と「炎上を拡大させる側」の両方が存在します。
発信者側には、次のような特徴があるかもしれません。
- 言葉が強い
- 説明不足
- 誤解されやすい
- 謝罪や訂正が苦手
- 挑発に反応する
- 感情的な状態で投稿する
一方、攻撃する側(炎上を拡大させる側)には、次のようなものが存在する可能性があります。
- 正義感
- 承認欲求
- 優越感
- 集団への所属欲求
- ストレスのはけ口
- 注目を集めたい気持ち
つまり、「炎上する原因」と「炎上を拡大させる心理」は同じではありません。
ここを混同すると、「炎上したのだから、炎上した側が悪い」という単純な結論になってしまいます。
次回は最終回です。
こうした炎上のしくみを踏まえて、発信する側としてできること、そして攻撃されたときの自分の守り方をまとめます。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。
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