なぜ境界線を引くのは難しいのか——「いい人」をやめる勇気と「NO」の意味

③ なぜ境界線を引くのは難しいのか?「いい人」をやめる勇気と「NO」の意味 心の仕組み
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「境界線を引くこと」と「冷たくなること」の違い

境界線(バウンダリー)を引くことは、理屈だけなら簡単です。

「嫌なら断ればいい」

と言うこともできます。

しかし、現実の人間関係では、それほど単純ではありません。

なぜなら境界線を引くと、相手が不快になる可能性があるからです。

「嫌です」
「できません」
「そこまでは話したくありません」
「今は会いたくありません」

そう伝えたとき、相手が怒るかもしれない。
不機嫌になるかもしれない。

「冷たい」と言うかもしれない。
「普通はそれくらいする」と責めるかもしれない。

そのため、相手を怒らせないために、自分の境界線を削ってしまうことがあります。

「いい人」でいようとすると境界線が薄くなる

境界線が曖昧になりやすい人には、ひとつの共通した傾向があります。

それは、

「相手を不快にさせないこと」を、自分の責任だと思いすぎること

です。

相手が怒らないようにする。
相手が悲しまないようにする。
相手が寂しくならないようにする。
相手が不満を持たないようにする。

もちろん、他人への配慮は大切です。

しかし、

「相手がどう感じるか」と「自分が何をするか」は別問題です。

自分が丁寧に断ったとしても、相手が怒ることはあります。

その怒りまで、自分が責任を負う必要はありません。

「NO」は攻撃ではない

境界線について考えるとき、重要なのが「NO」です。

「NO」と言うと、拒絶や攻撃のように感じる人もいます。

しかし、NOは、相手を攻撃する言葉ではありません。

「私はそれを選ばない」

という、自分の意思を示す言葉です。

たとえば、

「今日は行けません」
「その話はしたくありません」
「それは貸せません」
「今は連絡に対応できません」
「そこには入ってほしくありません」

という言葉は、相手を否定しているとは限りません。

むしろ、自分の意思を相手に伝えるための情報とも言えます。

境界線を越えるとはどういうことか

境界線を越える行為には、さまざまな形があります。
分かりやすいものだけではありません。

たとえば、

  • 嫌だと言っているのに繰り返す
  • 断っているのに説得し続ける
  • 個人的な情報を勝手に他人へ話す
  • 相手の所有物を無断で使う
  • 相手の時間を当然のように要求する
  • 相手の意思決定を支配しようとする
  • 「あなたのため」という理由で選択を強制する
  • 断ると罪悪感を持たせる
  • 「普通はこうする」と圧力をかける

などです。

ここで大切なのは、境界線を越えたかどうかは、行為の大きさだけで決まるわけではないということです。

小さなことであっても、相手が「やめてほしい」と伝えているのに、それを無視して繰り返せば、問題は別の段階に入ります。

「一度のお願い」と「境界線の無視」は違う

人間関係では、相手の希望を一度で完璧に理解できないこともあります。

たとえば、

「今日は一人でいたい」
と言われて、

「そうなんだ。わかった」
と引く。

これは相手の境界線を尊重する行為です。

一方、

「でも少しだけならいいでしょう」
「なんで?」
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
「普通は付き合うよ」

と、断られたあとも押し続ける。

こちらは境界線を尊重しているとは言いにくくなります。

つまり重要なのは、相手の希望に自分が同意するかどうかだけではなく、相手に拒否する権利があることを認めることです。

次回は、境界線を引くことと「わがまま」はどう違うのか、そして健全な境界線の引き方について考えていきます。

 

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。

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